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高森明勅
2018.10.27 14:05皇室

皇位継承儀礼におけるタテ軸とヨコ軸

皇位の継承に伴って必ず行われるべき
重要な儀礼として、古代以来の伝統を持つものが3つある。
 
〔1〕新しい天皇が神器(じんぎ)を受け継ぐ儀礼
(剣璽〈けんじ〉等承継の儀)
〔2〕高御座(たかみくら)に昇って
即位を宣言する儀礼(即位の礼)
〔3〕国民が育てた稲を天皇が皇祖(天照大神)に
奉(たてまつ)り、自ら共に食べる儀礼(大嘗祭)
これらの中で、〔1〕は、天照大神以来の系統(皇統)
と精神を正しく受け継いでいる事を確認する儀礼。
 
いわばタテ(時間)軸に関わる儀礼だ。
 
一方〔2〕は、
国民統合の中心である事を表示する儀礼。
こちらはヨコ(空間)軸に関わる儀礼だ。
 
しからば〔3〕はどうか。
 
伝統的な生業である稲作を媒介として、
皇祖―天皇―国民という国家の中軸をなす関係を、
祭式的に更新する儀礼。
 
タテ軸とヨコ軸を総括した儀礼と言えるだろう。
 
これらの儀礼を皇位継承の度(たび)に繰り返す事で、
時代の変化を越えて受け継がれるべき、
天皇の本質的な一貫性が担保される。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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